明日弾けるは泡か実か?
遠く、冗長に、四つ叩かれる鐘の音。この茹だるような暑さの中では音の響きさえもぼんやりと溶けてしまう。そんなこと海ではありえないのにな、と浅く息を吸った人魚、アズール・アーシェングロットもぼんやりと思った。 この学び舎に迎えられて一年足らず…
小説twst,アズイデ
運命
「——運命?」 コロコロと手の内でくすぶっていた賽が、思いもよらず指の隙間から転げ出た。「だとは思いませんか?」 目の前の彼はそれに一瞥もくれずに笑っている。いつもの営業スマイルよりかは屈託のない方ですな、なんて。言葉にしたらまた、可愛げの…
小説twst,アズイデ
一等青い価値
この世のものは海陸問わず、「利用できるもの」と「利用できないもの」とに分かれている。 「まあ、僕の慧眼を持ってすれば大抵のものは扱えますが」 自負を口にすれば、向かいに座る彼がフヒヒッと奇妙な笑い声を漏らす。「流石アズール氏。拙者も…
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