プリンセスドリーム

 ヴィルはどこまでもプリンセスドリームのカウンターなんですよね。
ポムフィオーレ寮のモチーフとなった世界初の長編カラーアニメーション『白雪姫』はウォルト・ディズニーの原点であり、プリンセスドリームの始まりでもあります。ここでいうプリンセスドリームとは、よくあるおとぎ話のあらすじーー心優しく、面倒見よく、一生懸命に家事をしている女の子は夢を見る。いつかきっと素敵な王子様が迎えに来てくれる。そうして夢は叶い、王子様と結婚してハッピーエンド。

 ジェンダー的に見ると、まあ時代が時代なのですが、プリンセスドリームというのは「女の幸せと在り方」を決めつけていることに他なりません。良妻賢母となれるように日々仕事をして、殿方をお待ちしていればいつかあなたも結婚という「幸せ」が迎えに来ますよ。力強く財力があり容姿の良い、素敵な男性という「夢」が手に入りますよ。という子どもへの教育です。子どもを映画館に連れて行くかどうかは親が決めることなので、最初期のディズニーは親の気に入る教訓を映画に盛り込む必要がありました。

 ヴィルは「おとぎ話」「夢」「頑張ったら報われる」といったものを厭い、戦うために自己の研鑽を積み重ねた上で、どう足掻いても報われない現実を痛感している。また彼は典型的なジェンダー観をよしとしない。
 エペルは言うなれば「理想の男性像」を持ったプリンセスドリーム側の人間でした。その「夢」から目を覚ましたのはヴィルやデュースたちによって、自分は男だから男らしくあらねばならない、という殻を脱ぎ捨て「自分の中の強さ、美しさ」を見つけられたからです。あ〜中編ほんと良かったな…

 まあなのでヴィル様の在り方、ものの見方、本当に美しいなと思っていますが、これほんとどうやってオバブロするのかなと……人の内包する美しさを認められるのに、まあそれかきちんと認められるからこそ辛そうですが……どんなに頑張っても、どんなに自分に厳しくしても、どうしても報われない事柄があると自分の口から出して、でもいざそれを目前に突きつけられてしまったら? 自身の美しさを見失ってしまうこと、あるのでしょうか。他者の美しさを呪うことがあるのでしょうか……

 う〜んヴィルが美しさへのプライドを持つ限り卑怯な手は使えないと思うんですよね。オバブロする状況、あのルークが「今の君は美しくない」と言うの…かな…しんど…しんどい…後編怖…

 

Log : 2021.01.12