イデアとアズールの友だち観について

文化部バルキャンからのグロマスという怒涛のボードゲーム部供給に、改めて「なんで君ら友だちじゃないとかぬかしてるんですか!??」とスマホに掴みかかってしまったので一度ふたりの友だち観について整理しようと思いました。諸々ゲーム内テキスト、またグロマス1章までのネタバレを含みます。いつも通り幻覚で突っ走ります。

 

イデアの友だち観

>>もしも もしも僕らが普通の家に生まれていたら… 友だちとゲームして、冒険して、将来の夢を語り合って… いつか本当のヒーローになれたかもしれない。

イデア・シュラウドにとっての「友だち」というものは多分、自身の夢の中でも一番身近な夢だったと思うんです。普通の子どもだったら当たり前に「友だち」を家に呼んでゲームをして遊ぶ。そんな”みんなと同じ”はヒーローになることや冒険に行くことよりもリアリティがあって、だからこそそれが決して叶わない人間だということは学生生活の上でも、彼が日々身近に感じ取れる絶望だったんだろうなと。

>>君は生きてるヒト? じゃあ、兄さんの友達になってよ。

そんなイデアに対して「友だち」をつくって欲しい。兄さんに夢を叶えて欲しい。オルトは繰り返し様々な場面でその願いを口にします。
シュラウド兄弟に焦点を当てた本編6章では、「友だちを家に呼んで一緒にゲームをする」というほんのささいな願いが引き金となってオルトがイデアのために世界をリセットしようとするにまで物語が転がります。結局兄弟の叶わなかった夢の先で、それでもふたりのオルトが背中を押したからこそイデアは「友だちの家で一緒にゲームをする」という小さな一歩を踏み出せた終曲にたどり着きました。

今回のグロマス冒頭も以上と同じく、お馴染みのやりとりが微笑ましいです。

>>って思わず頷きそうになったけどハードル高過ぎん? ナイトレイブンカレッジにも友だちいないのに。

>>じゃ、じゃあ同行するナイトレイブンカレッジの人でも良いから、友だちになれるよう頑張ろう。

兄の背を優しく押すオルトくんの愛と、たじたじながらもオルトのためならって頑張るお兄ちゃん゛~~~~~……にまた泣いちゃうかと思ったのと同時に、この「ナイトレイブンカレッジにも友だちいないのに」発言を聞いた直後のグロマス1章中のアズールとイデアの会話聞いてると改めて えっ…?????と疑問符無限湧きしてしまったため今これを書き始めた次第です(原稿は?)

改めて端的にイデアがアズールに今までしていることをまとめると、誕生日に相手が気になっていたもの、かつ一緒に遊ぶであろうボードゲームを贈り、相手がどういった人間かある程度相互理解し、一緒にいても大丈夫な人物の筆頭に選び、自身が困った際に頼り、ゲームの続きをする約束をし、遠慮のない煽り合いをし、この度もあのイデア・シュラウドが対面にも関わらず積極的に話しかけまくっているわけですがあの、いったい何がどうして友だちじゃないんですか…?????(混乱)に陥ったので以下三つ、イデアの「友だち」ハードルについて自分が考えられることを並べてみました。

○友だちのハードルがフィクションに吊り上げられてる

リアルの友だちが一人もおらず、また恐らく同年代の集団が身近にいたこともない状態で、アニメ漫画ゲーム等のフィクションを摂取しまくっているため友だちはこういうものというハードルがバリ高い可能性がある。

 

○自分に友だちができる訳ないと思ってる

>>おサムい友情ごっこに付き合ってる暇ないの。

>>友情……? そんなもん微塵もないですし! ちゃんちゃらおかしいですわ!

>>だいたい、この問題児たちが友だちだって? ご冗談でしょ。

「友だち」のハードルが高いので「隠キャの自分なんかに友だちができる訳ない」という決めつけが最初にあり、無意識的にこういうところが友だちではないといった理由を後付けしてる。現実の友情とか仲間とかに対して斜に構えて忌避してるとこがある。

 

○友だちの理想像がアズールとかけ離れている
現時点でネット・リアル含めイデアが唯一自身と親しいと自負しているのがマッスル紅氏であり、彼の理想の友だち像であるのだろうなと思っています。

改めてイデアのマッスル紅氏との関係の言及について見直してたんですけど

▶︎最高のネトゲ友達 / 拙者が信頼する唯一無二の相棒 / 我が親友(笑) / 最高のネフレ

好感度1000%かな…??
ゲームのプレイングやコミュニケーションについての褒めちぎりも書ききれないんですが軽く並べると

>>貴殿のプレイスタイルには、常日頃から尊みを感じていますぞ(破天荒プレイ、盾プレイ、廃人プレイ)

>>踏み込み過ぎない距離感といい、ぼっちオタクがグッとくる言葉をかけてくれる優しさといい…… 「ありがてぇ〜」っていう感情しか沸かんのですわ。

>>く〜! 簡潔かつ頼もしい返事! さすが拙者が信頼する唯一無二の相棒、マッスル紅氏ですな。

>>しかもこのお気遣い……。 この学園の人間全員、氏を見習って欲しい。

>>しかしマッスル紅氏……「いつでも馳せ参じる」なんて優しい社交辞令を……なんと大人な対応か……。

>>布教されたらすぐ興味持ってくれるなんて……  優しすぎか?

>>しかもフッ軽〜! その才能めちゃくちゃ大事にして!

>>もしかして出張しまくりのエリート社会人だったり……? 尊敬しちゃうでござる〜〜〜〜!

▶︎MMOゲームの気が合う / 自分の好きなコンテンツに興味を持ってくれる / 自身に好意を示してくれる / 優しい / 大人な対応

マッスル紅氏、オタクキラーかな? そら好きになっちゃうよ。
イデアにとって「自分の好きなコンテンツを共有できる」ということはすごく大きなポイントなんだろうと思います。フェアリーガラでジャミルと共に打ったことでの急な懐きしかり、ケルッカロトでセベクに聖地巡礼への理解を示されずにムッとしてタブレットを持ち出したのしかり。彼の「友だちとゲームをする」夢しかり。

ここでアズールのイデアへの対応を思い返すと、やっぱりマッスル紅氏とは全然違うなあと思うわけです。アズールが普段のように利益のため猫を被った状態で関わっていたのであれば大体クリアできていたと思うんですけど、イデアに対しては猫被らないどころか「なんですか。今忙しいので話しかけないでもらえます?」とかド塩対応返しているので…でもこんな風に拒絶されてもあのイデアがめげずに普通にそのまま話しかけてるところ、やっぱり本当に気を置いてない仲だなとしみじみします。
また彼らの間に共有されているコンテンツって「ボードゲーム」の一点かなと思うのですが、この人同寮同級生同部活の人間の名前も覚えてないのでボードゲームの同好自体に飛びつく感じでもないと思うんですよね。なのでやっぱり、アズールは全然彼の「理想の友だち」に当てはまらないんだろうと。

かといって、マッスル紅氏に対しても「友だち」とは言い切っていません。

>>友だちっていうのはさ、こういうのだよ。 こういうの!!
>>とか言って、リアルでは1度も会ったことないんですけどねー。

>>いつかは直接会って、そのご尊顔を拝見できたら……。

>>そしていつかは一緒に……一緒に現場なんか……!

イデアにとって「友だち」の大きなハードルはもう一つあって、それはやっぱり”リアルで遊ぶこと”なのかなと。あの授業でさえ出るのが面倒くさく、衆目を何よりも恐れるイデアがマッスル紅氏と会うことについてはめちゃくちゃ前向きなんですよね。

>>外界の”生きてる人間”と親睦を深めようなんて、考えるだけ無駄だよ。
>>……どうせ、いずれ全部なかったことになるんだから。

彼が本当にネットの関係のみで満足できていたら、人と会って遊びたいという気持ちが欠けらもなかったら、『レテの河』にこんなに苦しむこともなかったかなと思うんです。コミュニケーションの不得手ももちろんあるかと思うのですが、彼が人と会うことを忌避してる最大の要因は彼の容姿と彼のコンプレックスであるシュラウド家の人間であるということがイコールで結ばれている(と彼自身は思っている)ことかなと思っています。
マッスル紅氏に対して、それが頭を過ぎらないくらい会いたいのか、もしくは信頼を置いているのか。どちらにしろ顔を合わせて、自分が実はこんな人間なのだと分かっても改めて受け入れてくれて一緒に遊んでくれたのなら、その時は「友だち」だと彼自身も言い切れるのではないかなと。彼の小さな夢が叶う日なんじゃないかなって。

いやしかし今君の隣にいる人のことよく見てごらんって思うんですけど…上記の理由を踏まえてみるとイデアはアズールとの関係に対して、これが「友だち」だという自覚も発想もまるでないんじゃないかなーって思います。

 

 

アズールの友だち観

>>ほかの人魚と違って、吸盤が沢山ついた足。引っ込み思案でハッキリものも言えない。勉強も運動もてんでダメ。
>>ーー僕は、いつもひとりぼっち。 グズでノロマな、タコ野郎。

アズールは幼少時代、同じ人魚の子どもたちからいじめを受け仲間外れにされてきました。イデア同様に「友だちがいない」環境で育ちましたが、そのために抱いた夢の方向性は正反対といってもいいものです。

イデアは「友だちがいない」→「友だちとゲームがしてみたい(夢)」→「でも僕には人と会話なんて無理」「自分のことなんて理解されないに決まってる」
アズールは「友だちがいない」→「僕を馬鹿にした奴らを見返してやる(夢)」→「オトモダチ=ビジネスのパイプ」「自身の優秀さを周囲に認めさせたい」

その結果、アズールはそもそも「友だち」自体を必要としていません。なのでリーチきょうだいに対しても、もちろんイデアに対しても「友だち」という認識は持っていないのだろうなと思います。表面的な意識の上では。

アズールがオーバーブロットした際の原因は間接的には”黄金の契約書が全て消えてしまったこと”ですが、直接的には”何も持っていない自分の元からジェイドとフロイドが去って、またひとりぼっちの自分に戻ってしまう”絶望からです。3章CMの演出上でも、アズールの手の内から双子の姿が消えたことによってオバブロ描写…の流れが伺えます。

>>ジェイド、フロイド、ああ、やっと戻ってきてくれたんですね。
そこのバカどものせいで、僕の契約書が全て無くなってしまったんです。

契約書を失いパニックになって暴走しているアズールが、双子の姿を目にして安堵の声を漏らすのですね。ここの時点では(時間の問題もあるかとは思いますが)まだアズールはオーバーブロットしていません。

>>だって、なくなっちゃったんですよ、全部…… アハハ……アハハハッ!
このままじゃ昔の僕に戻ってしまう!

>>あのさー、今のアズールって、昔のアズールよりずっとダサいんだけど。

>>あ〜〜〜〜〜〜、そうですか。 どうせ僕は一人じゃなにもできない グズでノロマなタコ野郎ですよ。 だから、もっとマシな僕になるために みんなの力を奪ってやるんです。

オバブロ後にフロイドが再び言及しますが、この時の言葉は”泣きながら人の魔法を吸い上げるアズール”がダサかったのであって、フロイドは黄金の契約書を失ったアズールを否定しているわけではありません。フロイドとジェイドがアズールを面白いと思い近づいた最初のきっかけは”一心不乱に魔法の勉学に励む姿”を見たからです。けれどもアズールは双子が自分の側にいる理由を勘違いし、このフロイドの言葉を曲解したことでオーバーブロットへと踏み出してしまいます。

言動、能力、容姿、すべてを否定されたことでいじめられきたアズールは自己へのコンプレックスの塊です。自分はこんなにもダメな人魚だから他人の長所ーー価値を奪い取ることで無価値な自分に価値を付与する。自分に価値さえあれば、人よりも劣ってさえいなければ、いじめられることはない。それどころかどんな人間でも支配できる、自分を馬鹿にした奴らを見返してやれる。僕は”グズでノロマなタコ野郎”なんかじゃなくなる。”黄金の契約書”を沢山手に入れたから、ジェイドとフロイドは僕の元にきてくれた。僕はひとりぼっちじゃなくなった。

この勘違いを解くことは、レオナが今までの”黄金の契約書”のすべてを砂にしてくれなければ叶わなかったと思います。いやまあ完全にただの自分都合で砂にしてますけど。
中途半端に”黄金の契約書”が手元に残っていた場合、アズールは自分を助けに来てくれた双子たちのことを未だに、”僕が黄金の契約書を持っているからまだ側にいてくれるんだ”と捉えたままであったと思います。この人魚ほんとに頑固なので…

>>今は面白いから一緒にいるし、つまんなくなったら一緒にいなくなるってだけ。

>>ジェイドもフロイドも、僕に服従している気はないんでしょう。 彼らにとっては、そういう”ごっこ遊び”なんですよ。
>>僕がリーダーとして間違った…… あるいは、つまらない選択をした時はーー 2人はあっさり僕から離れ、寮長の座を奪うはずです。

人から奪い取った価値をすべて失って、本当にまっさらな”無価値なアズール”になってしまったのに双子は自分の側を離れなかった。その時初めて双子の「”アズール”が面白いから側にいる」想いをやっと汲めることができて、”アズール”という自分を受け入れられたんだろうなと。本人はめちゃくちゃ引きずってますけど、アズールが”何もない自分”から自由になるためにはやっぱり契約書は1枚残らず失わなければならなかった。今のアズールには”他人の長所”なんてなくたって何でもできますしね。過去の怨恨による契約書は自身のコンプレックスそのものだったとも思うので、縁切りできてよかったねと思います。

しかし上記を経ても、自分とともにいてくれる存在をこれほどに希求していても、アズールが人との関係を「友だち」だと本心から呼称することはありません。まあアズールに限らずNRCの生徒は大体「友だち」だと素直に認められない子たちばかりと思うんですけど、それにしてもアズールの場合は「友だち」の枠すらそもそも存在してないんだろうな~…と…

>>鬼ごっこしても、すぐ捕まえられるから一緒に遊んでもつまんない。

>>ああ、そうですか。 なら僕のことは放っておいて ぐるぐる走り回るだけの生産性のない遊びでもしてろ!!

「友だち」が欲しかった気持ちを、友だちと遊ぶ時間なんて下らないと押し潰して勉学に励んだ過去から、イデアと違いアズールはそもそも「友だち」を欲すること自体がありませんし、無意識下での「友だち」が欲しい気持ちを認めることもありません。アズールの「友だち」ハードルもなかなか高いな~…という感じで以下にあげてみます。

 

○自身の愛着を認められない

>>モストロ・ラウンジに愛着があるんですよね。

>>あ〜わかるわかる。 ラウンジのこと話す時、アズール楽しそうだもんね。

>>はっ。愛着だなんて、そんな非合理的な感情で僕が動くとでも?
>>利益があり、学園内の情報を集めることができる。 だからラウンジを大切にしているだけです。

いやもう誰がどう見てもアズールはモストロ・ラウンジに愛着ありまくりなのですが、本人照れ隠しとかではなく自分自身では本当にこう思っているのですよね…非合理的なものは無駄だとどんどん切り捨てて一直線に目的へ突き進み、理想の自分を手に入れられた経験から非合理的なもの、感情すべてに拒否感を示しているのかなと。またとことん合理的にすべての物事を捉えて計画を遂行する性質なので、たとえ自分の感情による行動であってもなんとでも”合理的なメリット”を動機にできてしまうのだと思います。大局を見てばっかりで足元が見えなくなっちゃう感じですね。

○取引以外の関係性を持てない

>>学友なんて所詮小魚の群れのようなもの。卒業すればあっという間に散り散りになりますよ。

>>この学園の生徒は実に個性豊かだ。ぜひ、いろんな方とオトモダチになりたいですね。

アズールの構築する対人関係はほぼ必ず”利益”を主軸とする合理的なものです。どの生徒よりも社交的に様々な人へとグイグイ主張していきますし、自分とあなたは仲がいいお友達ですよねとにこやかに距離を詰めますが、そのすべては自身のビジネスのパイプのためであり、明確な動機のもとでの行動です。

ふわふわとした友人関係よりも”利益”といった確実なもので繋がれるビジネスパートナーの方が、彼自身安心できるのかなと。双子も使えるから信頼して側に置いていると言いつつ、絶対一緒に何かするのが楽しいからって単純な気持ちの方が大きいと思うのですが、彼らを「友だち」とは決して呼びません。「モストロ・ラウンジ」という組織の枠組みを作れたことで双子との関係に説明をつけられたことも、モストロ・ラウンジを大切にしている理由の一つかと思います。

○人を価値の天秤にかけてしまう

>>今この場において、僕とあなたは対等だ! 2度と偉そうに命令しないでください!

アズールが人との関わりにおいて第一に執拗に気にすることは自分が相手よりも劣っていないか、です。「相手より劣っている=いじめられる」といった屈辱と痛みを覚えているがゆえの拒否反応かと思います。

>>見返りは求めない、と? そんなうまい話、到底信用できませんね。

>>そこまで言うなら、取引してさしあげましょう!

>>君ってやつは……本当に誰にも借りを作りたくないんだな。

対等もしくは有利なポジション取りをできない限り、意固地に人と関わりを持ちたがりません。最初に自分に価値がなかったから仲間外れにされたと思った経緯と、その後は対価によって人を操ってきた経験から、他人に支配されかねない弱みを決して作らせません。彼にとって人間とは天秤の上に乗せるものです。価値の高いか低いかで他人との距離をはかります。

人との交流のすべてに合理性と対等さ、もしくは優越性を求めるので「友だち」という情緒的な関わりと信頼による利害の甘えが性に合わないにも程があるというか、本当に不器用というか…

>>うう。ボクたちを踏みつけて高笑いする寮長…… しばらく夢に見そうだ……。

まああとそれはそれとして人の優位に立つこと自体がとにかくこの男めちゃくちゃ気持ちいいんだろうな。

 

というところで以上がアズールの「友だち」ハードルと思ったのですが、並べてみると改めてアズールの他の人間への対応とイデアへの対応やっぱり全然違うな…?と首を傾げてしまいます。ジェイド、フロイド以外でアズールと関わりが深いキャラクターとしてジャミルとリドルもともに挙げてみるのですが

ジャミルーー
>>どうです? これを機にオクタヴィネルに転寮して僕と手を組んで一旗あげてみませんか?

>>僕たち仲良しのクラスメイトなので。

リドルーー
>>ですから、いざという時に頼れる資格を持ったお友だちがいれば非常に便利……いえ、心強い! フフッ。

>>ぶつかりあって、将来の夢も語った。友だち以外の何者でもない。

イデアーー
>>………目眩がしてきました。ああ、こんなことならもっと恩を売っておくべきだった……!

>>なんですか。今忙しいので話しかけないでもらえます?

恩は!!?!????

(グロマス、作品中の正しい時系列はなんかもう置いておいて、ロロにイデアが「あのシュラウド家の関係者」であることを明かされてもアズールが驚きを返していないので、恐らく6章後の世界線、少なくともイデアがシュラウド家である情報をアズールが知り得ている世界線だと勝手に思っています。)
たとえ財閥の大富豪の御曹司であることを抜きにしたってイデアの才能、技術力についてはアズールは誰よりも一目置いているので、あの男がこんなにも金の成る人脈を逃すわけがないのですがイデア に対してはわざわざ「僕たちお友だちですよねアピール」したとこ見たことないんですよね。今回のマスカレアズールのホームボイスやアズール実験服パソストを深読みするとイデアと仲が良い自覚は恐らくあって、「こんなことを言っても、自分との関係性における利益をわざわざ提示しなくても、イデアさんは大丈夫」という相手への理解と信頼と甘えとがあるからこそ、イデアとの掛け合いはアズールらしからぬ気やすさなのだろうなと。

リドルとジャミルとの間柄に関しても完全にビジネスライクではなくって、自身の好意を自覚していないところがあるのかとは思うのですけど、それでもやはり「彼らとパイプを持てば自分の利益になる」という目的は保っていて、なのにあの……すみません誕生日の話をまたするんですけど……

>>……まさか、取引なんかじゃありません。 これは未来のあなたへの投資ですよ。

>>リドルさんの好みの傾向を調査し、分析して、喜んでいただけるものを……と選び抜いた逸品です。

リドルの誕生日では入念なリサーチとさらに複数の選択肢を設けた下準備の上、リドルの満足するアロマ機能付きランプを贈りました。他の生徒への誕生日プレゼントも同様、後々自身へ返ってくる”利益”のために、必ずそれぞれの欲しいものを調べあげてから贈っています。イデアの欲しいものも普段の部活の会話から簡単に察せるはずなので、この彼のセオリーに沿えばイデアの好むコンテンツの何かしらを贈ったと思うのですが、

>>アズール氏がオシャレなレストランに置いてそうなカップくれたんだけど…… 拙者の部屋に似合うとでも?

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おそらくこの「オシャレなレストランに置いてそうなカップ」というものはアズールがおめかしバースデーにて語った自身のモストロ・ラウンジへのこだわりのひとつで、”イデアが欲しいもの”では決してなく、”アズールの好きなもの”なのですよね。このイデアの反応の渋さを見ても分かる通り、あのアズールが見返りを求めずに他人へと”ただ”贈ったものです。その上絶対お値段高い。「相手の好感=自分の利益」よりも「自分の気に入っているものを贈りたい気持ち」を優先することは明らかに不合理で感情的な選択です。いや、もしかしたらアズールにしかわからない壮大な計画があるのかもしれませんけど…

以上を踏まえてもやはり、アズールはイデアに対しては利益を主軸にしていないし合理性に欠けるし相手への信頼が覗けるので、長々と今更な箇条書きを書き連ねてしまったのですがただ「傍目から見たらやっぱり君たち友だちじゃん!?」て叫びたかっただけです。

 

おわりに

 

「自分が”普通”だったら友だちとふつうにゲームできたのかな」

「自分が”グズでノロマなタコ野郎”だから一人ぼっちなんだ」

「友だちが欲しい気持ち」をイデアは誤魔化し続けているし、アズールは気づくこともできない。
「友だちという関係」をイデアは理想化し過ぎているし、アズールはそもそもそんなものを信じていない。

似た気持ちを抱えながら、ふたりともちぐはぐな心を持ち、けれどこのボードゲーム部の一室で少し気を許せる人間と互いに出会えたこと。もう本当に本当によかったな〜って…常に気を張りながら学生生活を送るふたりが、そこらの男子高校生みたく気兼ねなく遊べる場所があってよかったね〜ってしみじみ…

これからもきっとお互いのことを「友だち」と呼びはしないだろうけど、関係に名前を付けることなんかどうでもよくって、お互いがそこで楽しくボードゲームで遊んでいるならばもうそれがすべてなんですよね。ボドゲ部ずっとずっと盤上囲んで煽りあってくれ〜…

でもグロマスでのイデア、オルトくんの「兄さんが友だちを作ってくれたら嬉しい」という気持ちを今までのように誤魔化さず、素直に受け入れているのですよね。なのでやっぱり今イベは6章とガラifを経た世界線だと自分は思っているのですが…この度イデアの「友だち」に対する心境の変化が伺えたので、章を追うことでふたりの友だち観にまた進展があったりするのかも…?とまだまだこれからのツイステも楽しみですね〜!

長文乱文幻覚失礼いたしました! 色々捏ねましたが要するにボドゲ部ってめちゃくちゃ尊いってことです。ボドゲ部最高〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!