ツイステ6章経てのシュラウド兄弟所感

6章を読み終わってから兄弟のぬいを静かに抱き締めている日々です。読了直後ド放心だったのでこれ何一つ言葉にならんな…と思ってたんですが気持ちを整理しないと色々支障を感じたのでそろそろ一度兄弟周りをぽろぽろ言葉にしてみよ と思い至りました。要領とか全然得ないです。本編とパソストとイベスト引用あります。幻覚のまま書いています。

自分、ずっとイデアのチグハグな自尊心は、外からはシュラウド家や異端のレッテルを貼られて家ではいつもひとりぼっちで、誰も自分を肯定してくれなかった。自分でしか自分自身を肯定してあげられないから他人にレッテルを貼り返して見下して否定して、でも本当はやっぱり誰かに認められたくて、優越と卑下の乱降下を繰り返してる…と思ってたんですけども〜全然、まるで真逆で。

今回、「悔恨チャイルド」で…オーッ悔恨………オルトを失った経緯、あまりにも直接的に彼が関わりすぎていることが本当に、しんどくて。ああ、だから彼はずっと自分のことを肯定できないし、”しちゃいけない”んだという。あのチグハグな自尊心は外界から認められなかったからではなく(むしろ嘆きの島内部のみで生活してきたのであればS.T.Y.X.の跡取り、しかも研究に役立つ魔導工学の天才ということで回想見る限りでも持て囃されるくらいだったはず)、彼自身の”自分を認めてはいけない”という強固なストッパーのためだったんだなということがわかってしまって。彼の持てる ”好奇心” ”才能” ”夢” それらすべてが弟を死なせるきっかけとなってしまったこと、あんまりにもキツすぎて そりゃ、そりゃそうもなるよ、そりゃあ…になっています。自分の全部全部が許せないし、夢と希望を抱くことなんか、とても怖くてできないよ。

「大人になったら何になりたい?」
普通の子どもなら、1度はされるであろう質問。
誰か1度くらい、僕に聞いてくれてもよくない?

彼の願いも例に漏れず、オーバーブロットした子どもたちはみんな周りの人々が自分の存在を見てくれなかったことに発端があります。子どもの「将来こうなりたい」という気持ちを、未来を圧し殺すって、その子のことを何も見ていないに等しいし、生きようという希望を引き潰してしまう。こうやって押し潰された自分の存在…自分の”夢”を叶えるべく彼らは立ち上がり、世界に挑み、けれど現実はいつだって自分たちに厳しく、夢を砕かれた絶望のあまりに暴走してしまい…というみんなの我を通してゆく生き様がこれまでの章で描かれてきました。

6章が他の章と大きく違うところのひとつ、事件の起こりが彼の野望によるものじゃないんですよね。イデアはファントムオルトに出会うまで自分の夢をずっと諦めたままで、家側にも学園側にも振り回されるままで、彼が何を思っているか、何を望んでいるかが第三者視点のゲームプレイヤーでさえ終盤まで全くわからなかった。

……あーあ。僕も『スター・ローグ』のヒーローみたいに、外の世界を冒険してみたいな。

僕も! 僕も兄ちゃんと一緒に冒険に行く!
それで、2人で悪者をやっつけるヒーローになるんだ。

幼いイデアの押し潰された”願い”にもう一度希望の火を灯したオルトの「一緒に行こう」に、イデアの心がどれほど救われたかと思う。その小さな手で握ったきらきらと瞬く希望が、弟を失う絶望へと転化してしまうこと、あの、あの、あまりにも酷で言葉が無い。もう二度と叶わない”弟と一緒に冒険へ行く夢”を、その絶望を小さな身体に受けて、それで、それで彼は諦めなかった。弟を取り戻すには弟を”造ればいい”と、僕ならできる と。そりゃできちゃうって思ったら造っちゃうよ。誰だって、愛した人にもう一度会いたいって思うよ。その人の存在が大きいほどにそれだけ強く。

それであの…「憔悴ジーニアス」……憔悴……憔悴って…………その上でのここの、オルトに笑顔で縋り付いては泣き崩れる様、本当に情緒めちゃくちゃになってしまう。たった12歳の子どもがさ、オルトが”オルト”ではないこと、ああこれは”弟”じゃないんだって、頭が良すぎるばかりに、オルトを心から愛していたばかりに、目前にしたらもう目は逸らせなくって、自分を騙してあげることなんてできなくて、すべてがもうわかり過ぎてしまって、彼の希望は三度も打ち砕かれた訳です。どんなに頑張ったってどんなに才能があったって、弟は二度と帰ってこない。一緒に冒険へ行く夢は、ふたりでヒーローになる夢は、永遠に叶わない。

このオルトが造られた後のお話もまた、あの…オルトのおめかしバースデー全人類読んで………どこにもぶつけられない喪失と悲哀を抱えたイデアを見て、オルトはまだ感情なんてまるでわからないまっさらなプログラムで、きっと記憶を読み込んでも今の自分の思考とは整合性の取れないことばかりで、不可解なメモリーの山に埋もれて、それでもきっと兄さんに元気がないのはいやだと感じて、考えて考えて、人間の振る舞いを覚えようと自ら映画を見始めたオルトってもう、全部全部が愛じゃないですか。身体は愛で造られて、記憶には愛が詰まっていて、自我を愛のために育てて、もうまごうことなき兄さんへの愛100%じゃないですか。

そんなぎこちなくも話しかけてくるオルトに、少しずつ口数が増えるイデアがまた…本当に愛が深くて…きちんと彼と向き合って本当の弟のように可愛がろうと、そう思ったイデアの心中を…思って…だって自分の作ったプログラムだとわかり切って、こんなの僕が欲した”オルト”じゃないって、全部投げ出したっておかしくないのに、彼は前のオルトを失った痛みを感じながら今のオルトを愛そうと、そこで自分に決めたわけで…懸命に話しかけてくるオルトの存在をみとめて愛おしいと、姿形に関わらずそう想ってしまったわけで……

ここで前のオルトと今のオルトをそれぞれ愛していたからこそ、やっぱり彼の夢は前のオルトと一緒じゃなければ叶わないもので、だからもう、彼は願望を自ら圧し殺すしかなかった。二人で願った希望を、叶わない夢を、自分一人だけで抱き続けるのはそりゃつらいよ。諦めちゃうしかないよ。その上同じことを願ったらまた誰かの命を、弟を失うかもしれない。そんな怖いことってない。自身の”夢”を願うことすら自分に対して許せない。自分のことをわかってくれる人もいないし、たとえわかってくれてもすべて無かったことにしなくちゃいけない。唯一彼の”夢”をみとめてくれた弟は、自らの手によって失ってしまった。いったいこれらがどれほどイデアを孤独にさせたんだろうって、心臓が氷漬けになる心地がする。

カレッジギアオルトの「僕、ずっと学校に通ってみたかったんだ。小さい頃の夢が1つ叶っちゃった」とケルッカロトイデアの「ぷーくすくす。まったくご苦労なことですな〜〜。そんなことしなくても通信教育で済むのにww 」からしてやっぱり兄弟はNRCに来るまで学校にも、ましてや嘆きの島の外に出たこともほぼないと思っていて。イデアがやたらと人目を気にする理由、これもしかして実際に誹謗中傷されたわけじゃなくブロットの呪いによるネガティブ思考のせいなのかな…? 生徒の中でも王室関係者のマレウス、リリア、レオナや業界人らと仕事してるヴィルしか彼が「シュラウド家」ということを知らなかったわけで… 入学式前に新入生全員のプロフィールに裏垢まで特定してるアズールが部活の先輩の実家は全然把握してないんだ…? これ身辺調べたのに把握できなかったのか、もうほんと単純に部活に遊びに行ってるだけだったからなにも調べてなかったのかどっちなんですかね。後者だったら尊いですね。

とにかくイデアが”あの”シュラウド家だってこと自体周知されていないし、ましてや”呪われた” ”不気味な研究”のところまで把握してる人って学園内にはそういなさそうで、”なんか青くてキモーイ”までならあり得るかもだけど…多分人に指を差された経験よりも自分が”シュラウド家”だというコンプレックスが先行しているんじゃないかなと。

あんなにも願っていた外の世界でも引きこもりがちなの、移動が面倒臭いとか授業が非効率とかゲームしてたいとかもあるかと思いますが、やっぱり一番は”普通”じゃない自分の身を晒すのが怖いという気持ちが大きいんじゃないかと思って。自分の容姿、燃える青い髪こそが”シュラウド家”の証で、自身の最大のコンプレックスを曝け出しながら人と話すのはそりゃしんどいよなと。タブレット越しでなら話せるのは自分の顔でなく、タブレットの文字列にみんなの目線が行くからだと思うんです。

僕は……
僕たちはただ
みんなと同じになりたかっただけなのに。

外が怖い。みんなは”普通”の家に生まれて”普通”だから。僕は”普通”じゃないからわからない。馴染めない。みんなとは遊べない。
”普通”じゃない人間が”普通”の中で暮らしていく生活って、小さなトゲにたくさん触れながら生きるようなものと思うんです。いろんなことが噛み合わなくて、いろんなことを秘密にしないといけなくて、なんでもない”普通”に触れるたび心に小さな傷がつく。どうして僕は”普通”じゃないんだろう。どうしてみんなには当たり前のものが僕には与えられなかったんだろう。

イデア寮服でアズールに将来の進路について問いかけられて「……うん。そうだね。」とただ相槌を打ってさっと話題を逸らしたとき、静かな面持ちの奥での心境を考えるとなんかもう……僕が”普通”だったら一緒に将来の夢を語り合えたのかなとか、もしくはどの進路にも行けないよって本当のことを言えたのかなとか、もうとっくに諦めて凪いでいるのか。その後のセリフで「なんで他人のために自分を偽らないといけないわけ?」と言い放つように、イデアなんて特に自分の気持ちを偽ることにすごくストレスかかる子なのにな〜…と思って…あんなに欲していた外の世界も、友達も、将来も、希望を目の当たりにするほど絶望が肉薄する学生生活だったんじゃないかと思って…凡人だとかパンピーだとか周りを見下して遠ざけて、その実誰よりも”普通”が心底うらやましかった男の子だったのだという皮肉が。自分が傷つかないように、下手な”希望”なんかを持たないように、周りの人間と僕とは違うんだと何百回も自らに言い聞かせてきた様がもう…ほんと……いた、痛くて……

僕の一生は、僕が生まれる前から全部決まってた。
”嘆きの島の番人” それが、僕の将来の仕事。
シュラウド家に生まれた者は、ブロットを燃やす呪いを血に宿し……
『冥府』の門を開閉するユニーク魔法を持つ。

明かされたイデアのユニーク魔法がね〜〜〜〜……またも〜〜……息止まっちゃ……

過去の自分の呟き引用なのですが、twstの本筋は「自分をちゃんと見て」という欲求、「自分の存在」を社会から殺された子どもたちが棺に入り、自身のコンプレックスをユニーク魔法という武器に変えて大人へと生まれ変わり学園を出ていく物語…と自分はずっと思っていて、それであの、イデア、あの………まさか自身のコンプレックス…”シュラウド家の呪い”を強みに変えてなお、冥府の管理のためのユニーク魔法を遺伝的に会得しているとか…自分のための武器になるはずのユニーク魔法によってまた自分が縛られているとか、そんなひどいこと考えもしなくて……本当に彼らの身体のすべてが冥府を管理するために造られていること、自由の奪われ方に吐き気を催してしまう。身体って、だってそんなの、もうどうしようもなく逃げられないじゃないですか…

今回オルトと夢を叶えるためにこのユニーク魔法を使って冥府を開きましたが、これ世界を新生するとかいう究極最強武器なわけで、そりゃめちゃくちゃ強くはあるけどやはり彼が「今ある世界」で生きていく上での武器たりえるのか…という疑問が残って。前章の寮生のユニーク魔法、たいてい次章の要で発動されますがイデアのユニーク魔法ってもう一度出てくるんだろか…?

でもだからってこのことが絶望しか生まないかといったら決してそうでなく、きっと、ユニーク魔法ですら彼のコンプレックスであるがゆえに、イデアは魔導工学の申し子で、異端の天才で、オルトには”心”が生まれたのだと思うんです。

世にある魔法の負債を一身に受けて、魔法によって自由を奪われて、自身は魔法を満足に扱えない身体で、でもだからこそ、その雁字搦めのコンプレックスを振り払って彼は魔導工学にこれほど打ち込んだんじゃないかって。それはオルトという最高傑作を、最強の味方を、愛しい弟を造り出した、魔法よりずっと確かなもの。ユニーク魔法なんかよりもっと力ある彼の武器であり、誰かを守れるものでもあって。たとえばもう二度と誰も傷つかないようにと、ケルベロスシステムを構築したりして。魔法を使えない人々が多数の世界で、イデア・シュラウドの魔導工学への貢献はこれからもきっと数えきれないほどの人々の助けになるだろうなと。それはすごく希望を秘めた力で、呪いに立ち向かう力で、彼のこれから先の人生がとても楽しみでならないです。

 

で、ここからは本編の、前のオルトと今のオルトとイデアの三人の夢の道行きの感想…というかどうして…どうして…?世界………という呻きと愛~~~~~~~!!!!!!と咽び泣いてるだけになるんですけど…

三度も夢を砕かれて、自分で自分を諦め続けて、そんなイデアにもう一度、ふたりのオルトが”希望”を添えて兄の背を押すこと。イデアがS.T.Y.X.の所長代理なんか投げ出してひとりのただのお兄ちゃんに、”自分”になって駆け出して、もう一度弟の手を引いて”夢”を見ようと思ったこと。ふたりが互いのためにすべてを投げ捨てて手を取り合う様、ほんと愛以外の何者でもないじゃないですか。イデアがオーバーブロットした理由は今までの子たちと違って唯一、夢を諦めたのではなく夢を掴み取るために、自分のためではなく弟を冥府から引き摺りあげるためにブロットに身を投じたの、あの、あの、ほんとうにヒーローなんですよ。オルトにとってイデアはスーパーヒーローなんですよ。

イデアのオーバーブロット姿に、ファントム姿のオルト、もう、わ〜〜っ……こうきたか〜…ていう… このふたりの姿、「ふたりでヒーローになる」夢のかたちをおそらく…していて…ふたりの憧れた『スター・ローグ』のヒーローって、宇宙船に乗るパイロットじゃないですか。自分、前にパイロットスーツぽい服を着たイデアを出す漫画を描いたときに色々とパイロットスーツを調べて、そしたらイデアの寮服とかオルトのギアとか、そもそももう兄弟にパーツやデザインの類似点が結構あったんですよね。で、今回のイデアのオバブロ姿を見てこれってパイロットスーツだなあと改めてすごく思って、じゃあ、イデアのブロットで繋がっているファントムオルトは巨大ロボなのかなって。”普通”の人から見たら禍々しいと思われる姿でも、ふたりにとってはずっと夢見てきて、やっと掴んだヒーローの姿なのかもしれなくって。

「大丈夫?」と「大丈夫!」の兄弟のやりとりしんどすぎてもうどうしたらいいかわかんなくなっちゃったよね。オルトが大きな怪物に、『冥府』になってしまったとて変わらず「頑張れる?」と弟を優しく気遣う声にもう…そうなんだよって…オルトと二人で外に冒険に行きたいって、そんなささやかな願いごとしかイデアは考えてなくて…全宇宙の支配者になるとかじゃなく…幼い頃に交わした約束をずっとずっと二人とも心に秘めて生きてきた、その想いの強さに打ちのめされています。『冥府』になるってどういうことなのか自分は把握できていないのだけれど、でもとにかく想像を絶することなのだろうとは感じていて…たった8歳のオルトが、耐性があるからって少なからずいい気分にはならないであろうブロットをひたすらに身体に取り込んで、”兄ちゃんを自由にする”っていうひとつの妄執のために、暗く冷たい地の底で炎を燃やし続ける年月を、そんなの愛と呼ぶ他なく……

一緒に行こう、兄ちゃん。

……今度こそ、お前を置いていったりしない。

ォ ………………
イデアのファントムがオルトってことはイデアの欲望はオルトだし、オルトの欲望はイデアなので(「星に願いを」復刻絶対お願いします)もうね〜〜〜…そんなん、相手の幸いを願うことがそれぞれの”欲望”って、そんなん愛……………一緒に夢を追って、冥府に落ちる時はともに落ちて…もうオルトを決してひとりにしないというイデアの強い想いがここにあって。

で、あの、白い光に包まれたオルト 見返すたびにここぼろっぼろに泣いてるんですけど……

全部を諦めるには、兄ちゃんはこの世界を愛しすぎてるよ。

はあ!? 誰がこんなクソみたいな世界愛してるもんか!
そんなくだらないこと、全部なくなったっていい!

くだらなくたって、いいじゃない。 もうなにも諦めなくていいんだよ。

こんなに、こんなに優しい言葉があるのかって。あの日からずっとイデアが捨ててきたすべてを、今日オルトのために投げ出したすべてを、オルトがぜんぶ残さず…拾い上げてくれて…

彼を地の底に押し込めるような世界であっても、外なんか嫌いだと悪態の言い訳をついても、すべてが自分には手に入らないものと諦めていても、それでもこの世界の美しさをめいっぱいに感じ取ってしまっては、愛しすぎてしまうこと。「くだらなくたって、いいじゃない」って、ほんとうにやさしい肯定で。兄が愛したものを「くだらなくない」とは言わないんです。

「この世界には余計な積み重ね(セーブデータ)が多すぎる。」と言い放った合理主義的なオルトがくだらない世界を肯定したのは、合理主義的なはずの兄がこのくだらないことこそを愛おしく想っていたからで。どんなにささいなことだって、くだらないと切り捨ててきたことだって、「もうなにも諦めなくていい」 自分の気持ちにバツ印をつけて回らなくてもいいんだよって、自嘲して自分を誤魔化さなくったっていいんだよって。

兄ちゃんには、未来がある。
僕ね、兄ちゃんには僕たちがあの日みた夢を叶えてほしいんだ。

兄ちゃんなら、
……兄さんなら、どこまでだって行けるよ。

あの日オルトとともに失った ”好奇心” ”才能” ”夢” 彼のすべてを、オルトが拾い上げてイデアに返すんですよ。自分を”みとめちゃいけない”ってずっと、イデアがイデア自身に科していた呪いをオルトが解いて、イデアを”この世界”に返してあげた。命の意味でも、彼の存在という意味でも。

ふたつのマスクが外れて素顔が見えているオルトはやっぱり、ふたりのオルトの想いがひとつになった現れなのだと思います。兄を自由にしたいという欲望が、愛が、彼らを引き合わせた。愛がただのプログラムであった『ORTHO』に、”心”を与えてオルトにした。

ただ……感じるんだ。オルトが”ここ”にいるって。

よく欲望と愛とはかけ離れた場所にあると言われるもので、愛する想いを欲望と称することに自分も最初は戸惑い、のちにすごく得心がいって。ひたすらに相手のさいわいを願い自己を顧みず与えること、ただ欲するよりもよほどに強い意思で望み続けなければ叶わず、ときには愛するもののために世界すら壊してしまう欲深さを見せるものだなあと。愛によって突き動かされたイデアとふたりのオルトの夢の旅路、どろどろとした闇の中で鮮烈に燃える輝きがほんとうに美しくって、とてつもなくやさしくて残酷で、胸を打つものでした。

もう”イデア・シュラウドの弟”という役目に 縛り付けられなくていいんだ。

君は自由だよ。

で、あの…ここに、ここについにたどり着いたか〜っていう……世界だろうが自分だろうが投げ出せるほどに愛したものの手を、手離せてしまうんですよねこの男は…

でも、兄ちゃんはまだこっちへ来ちゃダメだ。

そしてオルトもまた愛するもののために手を離してひとり、冥府に沈んでいったわけで…ほんと似たもの兄弟で…こんなにも愛し合うふたりが愛ゆえに互いに手を離し合うの もう あの 愛じゃないですかそんなの 愛がゲシュタルト崩壊なんですけど

どこにも行かないで。 僕とずっと一緒にいて。

……そうだよね、どこかに行く必要なんてないよね!
いつも通り、こうやって2人でいるのが一番いい。
大丈夫だよ。僕は兄さんとずっと一緒にいるから。

ゴスマリイデアのプロポーズ台詞を聞いたときに、ああこの子はひとりぼっちになることが一番恐ろしいことなのだと思って。バーストギアオルトを思い出して、いやアンサーじゃん…一生ふたり一緒にいてくれ…とか思っていたんですけどまったく自分が浅はかでした。愛する気持ちが恐れなんかに負けるわけなくて、あんなにも無垢な心で相手の幸いを願う彼らが愛する人を束縛しようと思うわけがなくて。

あなたの……イデア・シュラウドさんの ”本当の弟”になりたい。

オルトが託してくれた記憶は、想いは……全部 僕の中(コア)にある。
僕はオルトで、オルトは僕だ。 だからこれは僕の意思だよ、イデアさん。

だから……一緒にいたいんだ。 ダメかな?

……ダメなもんか。
お前はもうとっくに僕の”本当の弟”だよ、オルト。

ありがとう、兄さん。

に に 人称〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ッ お ォア ア  人称の妙で涙腺壊れる。これほどに愛おしい気持ちがつまりにつまった「お前」を初めて耳にしました。

ここでオルトは「大丈夫だよ、一緒にいるから」ではなく「僕と一緒にいて」でもなく「あなたと一緒にいたい」んです。自分の心で、一度離した兄の手をもう一度選び取る。兄とともに生きることを、自分がオルトであることを欲する。イデアがその手にもう一度応えて、本当の弟を、オルトを抱きしめる。ここに、ここにこの世のすべてがありました。ありがとう世界。ありがとうツイステッドワンダーランド。ありがとう関係各社様。ありがとう枢やな先生。ありがとうシュラウド兄弟。自分の葬儀にはGo the Distanceを流してほしい。

……結局、兄さんを取り巻く環境はなにも変わってない。『嘆きの島』のことも、呪いのことも。
でも、変わったものもある。

だって僕たち、友だちと一緒にゲームをしたんだ!
不可能だと思っていたことを、 ひとつ実現したんだよ。

その記憶(メモリー)は僕の中にも、みんなの中にも残ってる。
それこそ0が0.001になっただけのことかもしれない。でも……
きっと、すごく大切な一歩だ。

この、ふたりのオルトが世界に残したものがイデアにとってどれだけ大きなものかを、ぎゅうと噛み締めています。

あんたに俺の何がわかるっていうんだ。
俺がこれまでどんな思いで過ごしてきたか! どんな苦渋を味わってきたか!
わかるわけがない! 誰にも! あんたと俺は違う!!!

今回ジャミルがレオナに言い放ったように、これまでオーバーブロットした子たちは「お前らに自分の気持ちなんかわかるわけがない」と自分と世界との齟齬を叫ぶ場面が必ずあります。誰にも自分のことをわかってもらえない、見てもらえない孤独は人の心を蝕み、いつしか冷たい世界を呪うようになってしまうものです。

エッ。ヴ、ヴィル氏……イケイケのスーパーモデルなのにゲームに興味あるの?

けれども今回、イデアは他人に対し「自分の気持ちがわかるわけない!」とは叫びませんでした。誰よりも自分自身をみとめられない存在が世界ではなくイデアであった、ということもあるかと思うのですが、そもそもオルトによってもう既に、イデアは周りの人々との理解の架け橋ができていた。「実家に友だちを呼んで一緒にゲームをする」イデアの願った”普通”をオルトが叶えたんです。彼が今まで理解されるわけがないとひた隠しにしてきた彼自身のこと…S.T.Y.X.の人間であることと、こんなゲームが大好きだということをさらけ出して、他者に受け入れられた。だから彼は世界を呪わないままにオーバーブロットした。彼の孤独の問題は受け入れられたその後の、いくら自分のことをわかってもらおうとすべてが「なかったことになる」ところにありました。

…………そっか。
もう、みんなは忘れてくれないのか。嘆きの島(ここ)で起こったことも、くだらない約束も……。

それが”普通”……なんだ。

その絶望を救ったのがオルトの残した贈り物で…レテの河なんか二度と使えないように、二度と兄を冷たい世界の中ひとりぼっちになんかしないように。兄がたくさんの友達に囲まれて遊べるように。兄のささやかな願いが、どうか叶いますように。

君は生きてるヒト? じゃあ、兄さんの友達になってよ。

ねえ本当に、イデアにとってもオルトはずっと、スーパーヒーローなんですよ。

 

…………………で!!!!!!あの!!!!!!!!

僕ね……。

……無理かな?

フヒヒッ……兄ちゃんに任せとけ!

ご 入 学 お め で と う ご ざ い ま す!!!!!(ドンドンパフパフドン!!!!!!!!)
待ってた。待ってた。待ってた。兄の愛が特盛。こんなに弟にとって頼もしい兄ちゃんいない。カレッジ・ギア良すぎます。曇らぬ天才の仕事。ふたりでひとり、だったところからひとりとひとりになったこと。一人の人間と一人のヒューマノイド同士で対等に肩を並べて、二人が無邪気に無遠慮に掛け合う姿。兄弟尊すぎてな、なに…?まぶし… こんな、こんな粋な演出があるんだ…ソーシャルゲームってすげー…………

あとね、びっくりしたのが親〜〜〜! 奔走してくれたんだ親……だって世界を終わらせかけた際の責任問題って一体どう落とし前つけたんですか…? 最悪な話をすると冥府をシュラウド家に任せるしかないのであれば、現状一人きりの後継であるイデアを切り捨てることはできず処罰を与えられない世界なわけですが(マジでシュラウド家の良心と存続に世界を賭けすぎ)、魔導ヒューマノイドであるオルトは他の人間らにとってはただの機械でしかないし、こんな危険なもの取り壊せって声が絶対上がったはずで。その非難を説き伏せてオルトを庇って、兄弟ともに学園へ入れてくれたんだという…「そんなこと(製造日のお祝い)したがるの兄さんくらいしかいないと思ってた。」ってことから、両親は今までオルトを”オルト”としては認めていなかったわけで、まあ彼らからしたらほんとにただのプログラムでしかなかったからそれはそうなんだけど…でも今回そのオルトのために、破壊しろとの声を多分跳ねつけて、オルトの入学のために寄付金まで払って学園と話をつけてくれた。

恐らくシュラウド家、交流が普通の家庭よりも淡白だと思うんですよ。親も合理的な性格で、忙しない研究所長で、お風呂もご飯も効率重視。外に遊びに行くこともできない。一緒にプログラムを組んだりはしているし、誕生日も子どもの好きなものをあげて大切に思っていたとも思う…けど、情緒的な関わりが充実していたのかはやっぱり不安があって、ここでまたオルトの存在が彼にとってどれだけ大きかったのかを考えると泣いてしまうんですけど……でも今回、このことがきっかけでオルトについて、また今までのことについて、両親とイデア、話し合えたのかもしれない…と思うと少しほっとします。いや多分次章の始めにそこのあたり触ってくれるとは思うんですが。

で、もうここの、ここの回収ですよ。

『ムシュー・奇跡(ワンダー)』!

わんだっ………あっ……あ゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!!!!(号泣)

たった今、「スター・ローグ」の続編制作が発表されたんだ!

ははっ、たしかに。星に直接願いを届けに行った”スター・ゲイザー”なんて、前代未聞だろうからな。
星も奇跡を起こさないわけにはいかなかったんじゃないか?

えええええーーーーーーッ!!? ま、まさかこんなところにあるはずが……。
でもこれは、間違いなく『がけも』のサイン!!

木の人形が本物の人間になるなんてありえない。 奇跡が起こるのは都合の良い御伽話の中だけだよ

間違いなくワンダーボーイですねぇ!?!?!?!?!?
待って、ほんと6章全ての回収があまりに鮮やかすぎて震えてしまう。先生がこわい。ほんとにこわい。これら人のなせる業なのですか…?

オルトくんのメモリーカードは、ただの部品じゃない。まさに魂そのものだ。
彼は……いや、”彼ら”は自らの意思で、兄の背を地の底から天上へ押し上げようとした。
その想いを、愛を、魂と呼ばずしてなんと呼ぼう。

そう そう そうです。ありがとうルーク先輩。すべてを口にしてくれた。同担だね。本当にありがとう。ありがとう。自分、シュラウド兄弟を一生推していきます。

「カレッジ・ギアで入学」「兄弟が友達の家に行ってゲームで遊ぶ」「オルトの学園生活」三段構えにぜんぶ夢みたいだけどぜんぶ夢じゃないんだ…!とずっとときめきが抑えられない怒涛エンディングでしたね。オルトくんが学園に通っている姿、本当の1年生組の楽しそうな掛け合いが見られて本望を遂げました。

で……あの……ヴィル様……………嘆きの島で命の危機にさらされてるにも関わらずオルトの振る舞いを見て「役者になったほうがいいと思わない?」てヴィル様にとっておそらくとびきりの賛辞でオルトくんの感情表現を…”心”をみとめてくれたのほんと…すごくうぅ〜ってなったんですけど…ここで本当に映画研究会に迎え入れてくれるのもうよ、よすぎて…

(僕 {ヒューマノイド} の”心”の動きも、人間の……誰かの”心”に響くの?)
(誰も挑戦したことがない。 知りたい……試してみたい!)

自分のやってみたいことを見つけたオルトくん、これからいっぱい、どんな夢を見るのか楽しみでならないです。兄さんと一緒にどこへだって、誰も知らないところへだって飛んでいって、たくさんの新しいものに出会ってほしい。兄さんの造ったボディでならきっとどこまでも行けるから。

兄弟の学園生活に、その先の夢の旅路に、その終わりに、どうかどうか希望とさいわいとがめいっぱいきらめきますようにと、祈っています。

 

Log : 2022.05.29